ピル外来

ピル外来

巣鴨レディースクリニックでは、緊急避妊薬・経口避妊薬の処方を行っています。
いずれも自費診療となります。

◎ 緊急避妊薬について

▼ 緊急避妊とは

避妊せずに行われた性交または避妊したものの避妊手段が適切かつ十分でなかった性交のあとに緊急避難的に用いる方法です。
緊急避妊の方法としては、緊急避妊薬を内服する方法、子宮内に器具(銅付加子宮内避妊具)を入れる方法があります。
巣鴨レディースクリニックでは、緊急避妊薬の処方を行っています。

▼ レボノルゲストレルを成分とする錠剤1錠を内服します

レボノルゲストレルは、性交後72時間以内に内服することで妊娠をふせぐ効果をもつ薬剤です。国内で承認されている緊急避妊薬はこのレボノルゲストレルを1.5mg含む製剤です。
排卵を遅らせることで妊娠を阻止する効果をもつと考えられています。
性交後に妊娠を回避するための薬ですので、性交の前から計画的に妊娠を回避する場合は、経口避妊薬の継続的な内服をおすすめしています

◎ 料金

緊急避妊薬1錠 11000~16500円(税込)
上記に加えて緊急避妊相談料 3300円(税込)がかかりますので、お支払いは14300~19800円(税込)です

▼ 緊急避妊薬の飲み方

性交後72時間以内に、緊急避妊薬1錠を内服します
時間経過とともに、効果が減っていきますので、できるだけ速やかに内服することをおすすめします。

経口避妊薬を飲み忘れたために、緊急避妊薬を内服した場合には、緊急避妊薬内服後12時間以内に経口避妊薬を再開してください。
再開後7日間は、ほかの避妊法の併用が必要です。緊急避妊薬の影響で、月経発来は通常よりもおくれます。

▼ 緊急避妊薬の副作用

国内での使用成績調査では、7.96%に副作用が認められています。
(主な副作用は、悪心 2.25%、胃腸障害 3.8%、頭痛1.38%、傾眠 1.04%、不正子宮出血 1.21%)
月経周期の乱れは比較的よくみられる副作用で、WHOの試験では、16%の方は内服後7日以内に出血があり、およそ半数の方は月経が予定よりも数日ずれました。
国内ではおおむね内服21日以内に出血が起こったとの報告があります。

▼ 緊急避妊薬の妊娠阻止効果

妊娠阻止率は85%と報告されていますが、性交後早めに内服すればするほど妊娠阻止率は高くなります。

妊娠阻止率
全体:85% 24時間以内:95%以内 25~48時間:85% 49~72時間:58%
(緊急避妊法の適正使用に関する指針 日本産科婦人科学会 2016)

▼ 緊急避妊薬の内服後に気を付けてほしいこと

1. 緊急避妊薬内服後の性交による妊娠を回避することはできません
緊急避妊薬は卵巣からの排卵を遅らせることで、妊娠を阻止するものと考えられています。そのため、緊急避妊薬内服後の性交による妊娠を回避することはできません。
ひきつづいて、妊娠を望まない場合には、性交をひかえるかコンドームなどほかの避妊法が必要です。

2. 緊急避妊薬を内服しても妊娠する可能性があります
緊急避妊薬の内服をしても妊娠を回避する効果は完全ではなく、妊娠の可能性があります(妊娠阻止率85%)。
月経が予定より7日以上遅れる、あるいは通常と異なる出血や腹痛がある場合には、妊娠の可能性を確認する必要があります。

3. 2時間以内に嘔吐した場合は効果が期待できません
嘔吐の副作用はほとんどありませんが、内服後2時間以内に嘔吐した場合には、効果が期待できませんので、ただちに再度の内服が必要です(2錠目の薬剤料がかかります)。

4. 予定の月経が早まったり遅れたりします
緊急避妊薬内服後では,7日以内に出血が認められることがあり,予定月経は早まったり遅れたりすることがあります。
95%が予定月経日の7日後以内に月経がおこりますので、月経が予定月経日より7日以上遅れた場合には、妊娠の有無を確認する検査が必要です。
また、月経があっても、通常より軽い場合には、その出血が月経ではなく妊娠初期におきた出血の可能性がありますので、妊娠の検査が必要です。

▼ 緊急避妊薬を使えない方

過去にこの薬剤の成分に対して過敏な反応を経験したことがある人、重篤な肝障害のある人、妊娠している方は、緊急避妊薬を使えません。
肝臓に障害のある人、心臓や腎臓に障害のある人、または過去に心臓や腎臓に障害があった人に関しては、緊急避妊薬を使用するか慎重な評価が必要です。

授乳中に内服することは可能ですが、乳汁中に薬剤の成分が移行するため、内服後24時間は授乳を避けていただくようお願いしています。

◎ 経口避妊薬について

▼ 経口避妊薬とは

経口避妊薬は、毎日継続して内服することで妊娠をふせぐ効果を持つ薬です。
経口避妊薬内服開始から3か月間は、副作用の確認のため1か月分ずつの処方、3か月以降は最大6か月分まで処方が可能です。

◎ 料金

1シート(28日分) 2420~2750円(税込)
上記に加えて、初回時に初診指導料3300円(税込)、2回目からは再診指導料550円(税込み)がかかりますので、お支払いは初回時5720~6050円、2回目からは2970~3300円となります。

▼ 経口避妊薬の効果

女性のホルモン分泌系に作用することで、排卵を抑制し妊娠を防ぎます。また、子宮へ作用することで、子宮内に精子が入りにくくする働きや、受精卵の着床を抑制する作用もあります。性感染症の予防効果はありませんので、性感染症予防のためにはコンドームの使用が必要です。
100人の女性が飲み忘れなく経口避妊薬を1年間飲み続けた場合、この100人のうち、1年間で妊娠する人数(パール指数)は0.3人程度です。飲み忘れなどのリスクを考慮に入れた場合は9人です。

パール指数:100人の女性がある避妊法を1年間用いた場合、何人妊娠するか
避妊法をつかわない:85人 リズム法:1~25人 コンドーム:2~15人
経口避妊薬:飲み忘れなく理想的に使用した場合0.3人
経口避妊薬:飲み忘れるリスクなども考慮した一般的な服用の場合は9人

▼ 経口避妊薬の飲み方

初めて経口避妊薬を飲み始めるときは、月経の第1日目から飲み始めます。
(製剤によっては、わかりやすいように日曜日から飲み始めるものもあります)
1日1錠を毎日一定の時刻に服用します。28日用の経口避妊薬では、最初の21錠に女性ホルモンが含まれています。残りの7錠は飲み忘れを防ぐための錠剤で薬剤成分は含まれていません。通常、最後の7錠の内服中に月経が来ます。
最後まで飲み終わった翌日から、月経が終わっていても続いていても、ひきつづき新しいシートの錠剤の内服を始めます。

妊娠を希望する場合には、内服を終了してください。長期に内服しても中止後の妊孕性には影響しません。内服終了後、約90%の方は、3か月以内に排卵が再開します。

内服中に激しい下痢または嘔吐が続いた場合は、薬の成分が吸収されにくくなり、妊娠する可能性が高くなります。ほかの避妊法を併用してください

日本産科婦人科学会 OCLEPガイドライン2020年版では、

「服用後3時間以内に嘔吐・下痢した女性は、速やかに再度服用する。24時間以上嘔吐または重度の下痢が続いている場合は、一旦服用を中止し、回復後の対処は、飲み忘れたときと同様に対処する」

と記載されています

▼ 経口避妊薬の飲み始めが遅れた場合

飲み始めの日が月経の第1日目よりも遅れた場合は妊娠する可能性が上がるため、飲み始めの最初の1週間はほかの避妊法を併用してください

日本産科婦人科学会 OCLEPガイドライン2020年版では、

「英国の診療指針では月経周期5日目までに開始した場合には追加の避妊法は必要ではないとしており、米国CDC診療指針、WHO診療指針と同様です。
ただし、月経周期5日目を過ぎて経口避妊薬を開始した場合は、追加の避妊法を用いるか、7日間は性交を避けてください。」

と記載されています。

▼ 経口避妊薬を飲み忘れた場合

気づいた時点で飲み忘れた1錠をただちに飲み、さらにその日の分も通常通りに飲んでください。その日は2錠飲むことになります。

2日以上連続して飲み忘れた場合は、その時点で飲むのをやめて、次の月経を待って新しいシートから再び飲み始めてください
服用を中止したシートに残っている薬は飲まないでください。2日以上連続して飲み忘れた場合は、妊娠する可能性が高くなるので、その周期はほかの避妊法を使用してください。
飲み忘れの期間が長くなると、不正出血が起こる可能性があります。

日本産科婦人科学会 OCLEPガイドライン2020年版では、

「2日以上連続して飲み忘れた場合は、飲み忘れた錠剤のうち直近のものをなるべく早く服用し、残りの錠剤を予定通り服用する。7錠以上連続して服用するまでコンドームを使用するか、性交を避ける。」

とあります。

▼ 経口避妊薬の副作用:血栓症について

経口避妊薬内服に伴って、血液がかたまりやすく(血液凝固能が高まる)なります。
血液がかたまると、血液の小さな塊(血栓)が形成され、形成された血栓が静脈につまると、静脈血栓塞栓症(VTE)が発生します。

静脈血栓塞栓症の発症頻度は、生殖可能年齢の方10000人あたり、経口避妊薬を使っていない場合は毎年1~5人/10000人ですが、経口避妊薬使用で3~9人/10000人へと増加します。

静脈血栓塞栓症の発生頻度は、経口避妊薬内服でわずかに増加しますが、女性ホルモン量が高まる妊娠中や産後の女性における発生頻度はより高く、妊娠中の女性では毎年5~20人/10000人・産後12週間以内の女性では40~65人/10000人とさらに高くなります。
水分摂取が少ないとき、長時間飛行(長距離移動、長時間の不動姿勢)、長期臥床、手術などは血栓症のリスクを高めます。予定手術の4週間前には経口避妊薬内服を中止する必要があります。

経口避妊薬内服が心筋梗塞のリスクを上昇させるか否かには一致した見解が得られていませんが、喫煙女性が経口避妊薬内服をすると心筋梗塞のリスクを上昇させることが報告されています。とくに1日15本以上喫煙する場合、心筋梗塞リスクが最大となるといわれています。経口避妊薬内服中は禁煙をおすすめします。
また、高血圧女性への経口避妊薬投与で心筋梗塞や末梢動脈疾患のリスクが上昇することもわかっています。さらに高血圧女性の経口避妊薬内服で脳卒中のリスクが上昇することも報告されています。軽度でない高血圧のある人へは経口避妊薬は投与できません。

片頭痛を有する女性への経口避妊薬投与と脳卒中リスクとは関連性があり、とくに前兆を伴う片頭痛の場合、虚血性脳卒中リスクを上昇させることが明らかになっています。前兆を伴う片頭痛をお持ちの方へは経口避妊薬は投与できません。

▼ 血栓症の症状

以下の症状:ACHESがみられる場合は受診が必要です

A:激しい腹痛
C:激しい胸痛、息苦しい、押しつぶされるような胸の痛み
H:激しい頭痛
E:見えにくいところがある。視野が狭い、舌のもつれ、失神、けいれん、意識障害
S:ふくらはぎの痛み。むくみ、握ると痛い、赤くなっている

このような症状が現れた場合にはただちに使用を中止して、救急医療機関を受診してください。医療機関を受診するときには、経口避妊薬を内服中であることを必ず伝えてください。

▼ そのほかの副作用

経口避妊薬の内服で、嘔気などの消化器症状等の副作用(マイナートラブル)がおこることがあります。多くのマイナートラブルは3周期程度飲みつづけることで軽減します。またホルモン組成や含有量が異なるほかの薬剤に変更することで解決することが多いといわれています。体重増加には関与しないことが疫学的に証明されています。

内服を始めてから不正性器出血がおこることがあります(20%)。通常は飲み続けているうちになくなりますが、長期間にわたって不正性器出血が続く場合は、ご相談ください。

卵巣がん・子宮体がん・大腸がんのリスクは低下することが知られています。
その一方で、長期間の服用が子宮頸がん発症リスクを増加させる可能性があります。子宮頸がんの発症に関わるHPVを排除する率が低下することがこの子宮頸がんリスク増加と関連しているといわれています。子宮頸がん検診を毎年受けることをおすすめします。
乳がんに関してはわずかに(1.08倍)リスクを上昇させる可能性があります。月1回は、乳がんの自己検診をするようにしてください。

▼ 経口避妊薬が使えない方

以下に該当する方には処方できません

  • 本剤の成分に対し過敏性素因のある女性
  • 乳がんの患者
  • 診断の確定していない異常性器出血のある患者
  • 静脈血栓塞栓症、血栓性静脈炎(表在性を除く)、肺塞栓症、脳血管障害、冠動脈疾患のある人または過去にこれらの病気になったことがある人
  • 50歳以上または閉経後の女性
  • 初経発来前の女性
  • 35歳以上で1日15本以上喫煙する人(35歳以上の習慣的喫煙者も原則不可)
  • 前兆がみられる片頭痛のある人
  • 血栓ができやすい体質の人
  • 妊婦または妊娠している可能性のある人
  • 軽度でない高血圧のある人(収縮期血圧160mmHg以上や拡張期血圧100mmHg以上の値を持続的に示す方、高血圧による血管病変の明らかな方)
  • 脂質異常症があり、ほかにも心血管疾患の危険因子(高齢、喫煙、糖尿病、高血圧など)をともなう人
  • 糖尿病のある人のうち糖尿病性腎症や糖尿病性網膜症などの血管病変のある人
  • 肺高血圧症または心房細動を合併する心臓弁膜症の患者、過去に亜急性細菌性心内膜炎になったことがある心臓弁膜症の患者
  • 抗リン脂質抗体症候群患者
  • 肝臓に重篤な障害のある人
  • 肝腫瘍のある人
  • 妊娠中に黄疸、持続的なかゆみまたは妊娠ヘルペスの既往歴がある人
  • 産褥6か月未満の授乳中の人
  • 静脈血栓塞栓症のリスク因子のない産褥21日未満の非授乳女性
  • 45分以上の大手術では手術前4週間以内、術後2週間以内の人、および長い間安静状態の患者

日本産科婦人科学会 OCLEPガイドライン2020年版では、

「授乳婦は、分娩後6カ月以降に服用を開始する。とあります。ただし、授乳中の使用による母児への影響に関する報告は一致しておらず、重篤もしくは長期にわたるリスクが存在するかどうかは明らかになっていない。」

と記載されています。

次の人は、内服が禁忌とはなりませんが、使用に慎重な判断が必要となります。

  • 40歳以上の人(有益性と危険性を検討したうえで一般的には投与可能)
  • BMIが30以上の人
  • 子宮に筋腫のある人
  • 過去に乳がんと診断された人、乳がんの家族歴、診断未確定の乳房腫瘤のある人
  • 血縁に血栓症になった人がいる人、表在性血栓性静脈炎のある人
  • 前兆のない片頭痛のある人
  • 心臓弁膜症、心疾患
  • 軽い高血圧のある人、妊娠中に高血圧になったことのある人
  • 血管病変を伴わない糖尿病のある人または耐糖能に異常のある人
  • ポルフィリン症の人
  • 肝障害、肝腫瘤、胆石症
  • 心臓病や腎臓病のある人、または過去にこれらの病気になったことのある人
  • てんかんのある人
  • テタニーの人
  • 腎疾患またはその既往歴
  • 炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)のある人
  • 脂質代謝異常(心血管疾患の危険因子を伴わない)のある人
  • 子宮頸部上皮内腫瘍CIN、子宮頸がん、症状があり治療を必要とする子宮筋腫のある人

クリニック概要

巣鴨の婦人科・産婦人科・女性内科

巣鴨レディースクリニック

〒170-0002
東京都豊島区巣鴨2-5-12 真野ビル2F

[最寄駅] JR山手線 三田線 巣鴨駅より徒歩1分

[TEL] 03-3916-2262

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診療時間
10:00 ~ 13:00 ×
15:00 ~ 18:00 × ×

△ …金曜 午前 / 検査等を対象とした予約外来となります。
◎ …金曜 午後 / 15:00~19:00

休診日:火曜午後・水曜・日曜・祝日


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